中小企業の業務自動化なら、シンプルな業務にはZapier、複雑なフローやコスト重視ならMakeが最適です。 「自動化したい業務の複雑さ」と「月間処理件数」の2軸で判断できます。 この記事では、料金・機能・運用コストの3観点に加え、中小企業の実務シナリオ別コスト試算とn8nを含めた三者比較で、自動化ツール比較の判断材料を提供します。どの業務から自動化すべきか迷っている方は、まず自動化すべき業務の見つけ方をご覧ください。
| 項目 | Zapier | Make | 判定 |
|---|---|---|---|
| おすすめな人 | 非エンジニアでシンプルな自動化を素早く始めたい人 | コスト重視で複雑なワークフローを組みたい人 | - |
| 料金(有料最安) | 月$29.99〜 | 月$9〜 | Make |
| 無料枠 | 月100タスク / 5 Zap | 月1,000クレジット / 2シナリオ | Make |
| 対応アプリ数 | 7,000+ | 2,400+ | Zapier |
| UI | リスト型(直感的) | ビジュアルフロー(全体把握しやすい) | 用途次第 |
| 学習コスト | 低(非エンジニアでもすぐ使える) | 中(設計思考が必要) | Zapier |
| 複雑なフロー対応 | 条件分岐あり(100ステップ上限) | ルーター・イテレーター対応(無制限) | Make |
| 日本語対応 | 一部日本語化 | 英語中心 | Zapier |
※料金は2026年2月時点の情報です。各ツールの全プラン比較は自動化ツール徹底比較マトリクスでも紹介しています。
ZapierとMakeの基本的な違い
ZapierとMakeは、異なるWebサービスをつないで業務を自動化するノーコードツールです。いずれもiPaaS(Integration Platform as a Service)と呼ばれるカテゴリに属します。Zapier Make 違いを一言でまとめると、「手軽さのZapier」と「柔軟性のMake」になります。
Zapierの特徴
Zapierは2012年に設立された老舗の自動化ツールです。ワークフローを「Zap」(ザップ:トリガーとアクションを組み合わせた自動化の単位)と呼び、リスト型のUIで直感的に操作できます。課金は「タスク」単位で、Zapが正常に実行された回数で消費量が決まります。
Makeの特徴
Makeは旧Integromat(インテグロマット)として知られるツールです。ワークフローを「シナリオ」と呼び、ビジュアルフロー型のUIでフロー全体を俯瞰できます。課金は「クレジット」(旧オペレーション)単位で、モジュール(処理ステップ)1回の実行につき1クレジットを消費します。
課金単位の違いが実務に与える影響
同じ「フォーム送信 → スプレッドシート記録 → Slack通知」というフローでも、課金単位の違いで消費量が変わります。
| 処理内容 | Zapierの消費 | Makeの消費 | 備考 |
|---|---|---|---|
| フォーム送信 → スプレッドシート → Slack通知(3ステップ) | 1タスク | 3クレジット | Zapierはフロー単位、Makeはステップ単位 |
| 上記を月100回実行した場合 | 100タスク(無料枠ちょうど) | 300クレジット(無料枠1,000の30%) | Makeの無料枠に余裕あり |
Zapierの無料枠は月100タスク、Makeは月1,000クレジットです。3ステップのフローの場合、Makeの1,000クレジットはZapierの約333タスク分に相当します。処理件数が多い業務ほど、Makeのコスト優位性が高まります。
料金プラン詳細比較(2026年2月時点)
料金プランとは、各ツールが提供する月額(または年額)の利用プランです。ここでは両ツールの主要プランを並べて比較します。
| プラン | Zapier 料金/月 | Zapier タスク数 | Make 料金/月 | Make クレジット数 |
|---|---|---|---|---|
| 無料 | $0 | 100タスク / 5 Zap | $0 | 1,000クレジット / 2シナリオ |
| 有料1 | $29.99(Professional) | 750タスク | $9(Core) | 10,000クレジット |
| 有料2 | $103.50(Team) | 2,000タスク | $16(Pro) | 10,000クレジット |
| 上位 | Enterprise(要問合せ) | カスタム | Teams $29〜 / Enterprise(要問合せ) | 10,000クレジット〜 |
※Zapier: 公式料金ページ、Make: 公式料金ページ(2026年2月時点)
Makeは2025年8月以降、従来の「オペレーション」から「クレジット」制に移行しました。基本的にモジュール1実行=1クレジットですが、一部の高負荷処理ではクレジット消費が増える場合があります。
中小企業のシナリオ別コスト試算
実際の業務シナリオで月額コストを試算しました。
| 業務シナリオ | 月間件数 | ステップ数 | Zapier消費 | Make消費 | Zapier月額 | Make月額 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 受注 → スプレッドシート → Slack通知 | 月30件 | 3 | 30タスク | 90クレジット | 無料 | 無料 |
| 日次の売上レポート自動生成 | 月30回 | 5 | 30タスク | 150クレジット | 無料 | 無料 |
| 問い合わせ → CRM登録 → メール返信 | 月200件 | 3 | 200タスク | 600クレジット | $29.99 | 無料 |
| 上記3つを合計 | - | - | 260タスク | 840クレジット | $29.99 | 無料 |
月200件の問い合わせ対応が加わるとZapierは無料枠(100タスク)を超え、有料プラン($29.99/月)が必要です。一方、Makeは3業務を合計しても840クレジットで無料枠(1,000クレジット)に収まります。処理件数が増えるほど、Makeのコストメリットが大きくなることが分かります。
中小企業の業務別おすすめ
業務別おすすめとは、自社の業務内容や運用体制に合わせた最適なツールの選定指針です。
Zapierが向いているケース
Zapierがおすすめなのは、以下の条件に当てはまる場合です。対応アプリが7,000以上と多いため、ニッチなSaaSを利用している企業に強みがあります。
- ニッチなSaaSとの連携が必要(対応アプリ数で圧倒的に有利)
- 非エンジニアが1人で運用する(UIがシンプルで学習コストが低い)
- シンプルな1対1の連携が中心(トリガー → アクションの直線的なフロー)
- テンプレートで素早く開始したい(数千種類のテンプレートあり)
Makeが向いているケース
Makeがおすすめなのは、コスト最適化や複雑なフロー構築が求められる場合です。
- 月間処理件数が多い(無料枠が大きく、有料プランも安い)
- 条件分岐やループを含む複雑なフローが必要(ルーター・イテレーター・アグリゲーター対応)
- データの整形・集約処理が必要(JSON操作やHTTPモジュールが充実)
- 開発経験のある担当者がいる(ビジュアルフローを設計できるスキルがある)
ハイブリッド運用という選択肢
実務では「受注通知のようなシンプルな処理はZapier、月次集計レポートのような複雑な処理はMake」というハイブリッド運用も有効です。それぞれの強みを活かすことで、コストと運用効率のバランスを取れます。
n8nという第三の選択肢
n8nとは、オープンソースのワークフロー自動化ツールです。セルフホスティング(自社サーバーでの運用)すれば、月額コストを大幅に抑えられます。
| 比較項目 | Zapier | Make | n8n(セルフホスティング) |
|---|---|---|---|
| 月額料金 | $29.99〜 | $9〜 | 無料(サーバー代のみ) |
| 対応アプリ数 | 7,000+ | 2,400+ | 400+(コミュニティ製含む) |
| 操作性 | 簡単(リスト型) | 中程度(ビジュアル) | 中〜高(ビジュアル) |
| セルフホスティング | 不可 | 不可 | 可能 |
| データの保管場所 | クラウド(米国) | クラウド(EU) | 自社サーバー |
| AI機能 | AI by Zapier | Make AI | LangChainノード対応 |
| 運用保守 | 不要 | 不要 | サーバー管理が必要 |
n8nが向いている中小企業の条件は、社内にサーバーを管理できるエンジニアがいること、月間処理件数が非常に多いこと、そしてデータを自社サーバーに置きたい場合です。ただし、サーバー保守の工数やアプリ連携数の少なさには注意が必要です。
詳しくはn8nセルフホスティングガイドで、具体的な構築手順を解説しています。
まとめ:自社に合ったツールの選び方
ツールの選び方とは、自社の業務要件・予算・人材に合わせて最適な自動化ツールを決定するプロセスです。以下のフローチャートを参考に判断してください。
├─ 自動化したい業務がシンプル(1対1連携)
│ ├─ 対応アプリが多く必要 → Zapier
│ └─ コスト最優先 → Make
├─ 複雑なワークフロー(条件分岐・ループ)
│ ├─ ノーコードで運用したい → Make
│ └─ エンジニアがいる&コスト最優先 → n8n
└─ まずは無料で試す → Zapier無料プラン or Make無料プラン
最初のステップとして、まずは無料プランで1つの業務を自動化してみることをおすすめします。実際に使ってみることで、UIの好みや自社業務との相性が明確になります。
n8nでのセルフホスティングに興味がある方は、n8nセルフホスティングガイドで具体的な構築手順を解説しています。また、ノーコードツール全体の選定基準については自動化ツール徹底比較マトリクスもあわせてご覧ください。